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病気について>炎症性腸疾患

炎症性腸疾患の診療

 炎症性腸疾患(Inflammatory Bowel Disease;IBD)とは、狭義の意味で潰瘍性大腸炎(Ulcerative colitis;UC)とクローン病(Crohn’s Disease;CD)の2つの疾患を指します。主に大腸や小腸など下部消化管に潰瘍ができることで慢性的に下痢や腹痛、下血などをきたす原因不明の難病です。近年、患者数は増加の一途をたどっており、本邦の難病対策事業登録患者数は潰瘍性大腸炎が15万人を超え、クローン病が5万人に達そうとしています。
発症年齢は従来20歳前後の比較的若い方の発症が多いと言われていましたが、最近では潰瘍性大腸炎は50〜60歳など比較的高齢での発症も増えてきています。
一方で近年の医学の進歩もより原因は遺伝的素因や腸内細菌・食事などの環境因子等が複合的に関与して免疫学的異常が起こるということが分かってきました。この考えに基づき免疫学的機序からさまざまな治療法が開発され、治療の選択肢が増加し個々の患者さんに合わせた内科的治療ができるようになってきました。

 当院では1983年に現理事長の鮫島由規則が当院で内科診療を始めてからIBD診療に力を入れるようになり現在4名の内科医で日々の診療にあたっており、2023年12月31日までに潰瘍性大腸炎948名、クローン病308名の診療を行って参りました(当院での近年の年度別IBD新規患者数の推移は下記表を参照されてください)。当院のIBD診療における最大の特徴は内科だけでなく外科や肛門科と院内連携が密であり各科で協力して診療にあたれることと考えております。一方で、近年は患者数の増加に伴い、寛解状態の患者様で患者様が希望すれば紹介元やご自宅に近い病院・クリニックに逆紹介もさせていただいております。

 また、当院での臨床成績については学会や論文等の発表を通じて、学術的にも本邦のIBD診療レベル向上に貢献できるよう厚生労働省研究班の指針に基づく専門的治療を積極的に取り入れております。さらに国内外の多くの治験や多施設の共同臨床研究等に参加し、鹿児島という地方でも都市部と十分変わらない最新の医療や知見を届けられるよう常に最新の知見を得るようスタッフ一同日々研鑽しております。そんな中、2024年4月より現福岡大学医学部消化器内科学主任教授であられる平井郁仁先生に1-2カ月に1回当院でIBD患者さんの診療にあたっていただけることとなりました。平井先生についてはこちらのページで紹介の通り現在の日本のIBD診療におけるトップランナーの一人です。診断や治療に難渋されている患者さんはもちろんのこと、私たちも色々最新の知見について教わりながら、患者さんの診療に還元できるよう努力してまいります。

また年に一回、銀杏の会(患者会)を開催しIBDのトピックスの紹介、試食を兼ねた栄養教室等を行っています。その際に患者様から一言スピーチを頂くのですが、病気や食事制限の悩み、学校や社会生活への障害など切実な話しを伺うことがあります。貴重な患者様の声を聞いて我々スタッフは、病気のみに向き合うだけではなく患者様の日常生活を含めたトータルな診療が重要であることを再確認し日々の診療にあたっております。

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​IBD治療実績

年度別炎症性腸疾患新規患者数(直近5年間)

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